目の前の道を下って、左に曲がると、温室のある通りに出る。温室では、キクが栽培されている。大型の、厚みのあるキク、スプレー咲きのキク、小型のキク。パンジー。シクラメン。ラン。… 左に曲がると、そこには川がある。ふと顔を上げると、山があり、山のすそには家がある。そのデザインのすばらしさ。すんだ川の水。水面に映る雲のあざやかさ。送電線のガイシまで光っている。土砂を運ぶ機械が、その繊細な構成が、今日は停止している。今日は日曜日である。
さらに山に向かって車を走らせると、「散歩用の道」がある。ここは、ちょっと信じがたいぐらいに、おだやかに波打つ丘の緑の芝生の向こうには、森林のパッチが、目を見張るほどに広がっている。太陽が木々を照らすと緑がさまざまな陰影を伴って、数え切れぬほどにその色彩を、あくまで贅沢に提示する。芝生のあちこちには、さまざまな花が咲いている。
丘を抜けて山を登ると、木々の間を走る道が、頂上まで続いている。木漏れ日の中を、車を駆っていく。森の開けた場所には小屋があって、そびえる木々が、光を受けて輝いている。かがやける日の光が、落ち葉に、紅葉に、針葉樹に、木の幹に反射して、澄んだその光があたりに満ちている。