火曜日, 1月 11, 2005

灯油を売ろうと、朝っぱらから拡声器で声がする。軍艦マーチならぬ、どこの起源とも知れない伴奏とともに、暖房設備に、ちまちまと石油を供給する、宣伝カーである。数十年間、なんの改革もなされなかったこの地方の暖房設備に、「とーゆ、950円です」なる声が響き渡る。30年前から、今に至るまで、住民は、リットル単位で石油をポリタンクに入れ、重いタンクをひきずって家に運び、各部屋にある石油ストーブにその石油を運び入れる。それができないものは、宣伝カーの来るたびに、業者に金を払って石油を購入する。この石油の供給システムを、いみじくも「みずくみ」と呼んだ人間もいる。水道がないので、井戸から水を汲むわけである。